四柱推命の大運と格局

四柱推命という占い

四柱推命はよく「占いの王様」的な言われ方をする占いのひとつであるが、実際勉強を始めてみると
結構難解で、習得するのが困難と感じるものでもある。

どういう占いであるかはWikiPediaなどに説明があるが、これを読んだだけではよくわからないという人も多いのではないかと思う。

四柱推命 - Wikipedia

Wikipediaの説明にもあるように、四柱推命は生年月日を干支に変換してその人の命運を占うというものである。別名八字とも言われるが、その人の性格や適性などを見るのに使われる占いである。
いい、悪いがはっきり出る反面、細かい象意を見るには情報量が少なく、そちらのほうは同じ命占の1つである紫微斗数などのほうが優れているとされる。

影響を受けた資料(本)

今回の記事を書くにあたり、大きな影響を受けたのがこの本である。

https://www.amazon.co.jp/dp/4893507486/

今は新装版も出ているようだが、西洋占星術との類似を指摘したこの本はちょうど壁にぶち当たっていた自分には衝撃的な内容だった。もっとも、正面突破するにはハードルが高かったので逃げ道が欲しかっただけかもしれないけど(笑)

もう1冊、今回の文章を書くに当たり参考にした(影響を受けた)本がこちらである。

https://www.amazon.co.jp/dp/B095YB2QLC/

見ての通り、インド占星術である。今回の記事はこれらをバックグラウンドに書きすすめていく。

四柱推命の謎 ①蔵干

四柱推命の勉強をしていてまず謎に思うのが、蔵干である。蔵干がどういうものかは上記のWikipediaを参照していただきたいが、簡単にいえば十二支がその内に秘めている干のことである。使用方法は本によっていろいろな説明がされているが、例えばある本では月支の蔵干でその人のタイプを判断していたり、他の本では蔵干を使って「格局」というのを決めた上でその人のタイプを決めたりしている。いずれにしてもその使われ方は局所的であり、蔵干について深堀している資料にはあまりお目にかかったことがない。その割には蔵干のある干は節入り後から10日、とかある意味厳密に期間を決められている。この数字にはどんな意味があるのだろうか。

四柱推命の謎 ②大運

四柱推命で命式を作るときには一緒に大運を出すというのが普通である。実際いろんなネット上の書き込みや書籍などの事例を見ても、この大運を目にすることは多いわけであるが、実のところこの大運も謎が多いように思う。まず流派によってこの大運の見方がまちまちなのである。

ある流派では大運は干支1つで10年の運気を見る。他の流派では大運干支の干で前半5年、支で後半5年と見る見方がある。かと思えば10年ではなく、ある命式では10年でも、他の命式では6年、また別の命式では8年とか大運の期間がまちまちな立場を採る流派もある。

個人的な意見をいえば干支を前半5年、後半5年に分けるのはちょっと無理筋かなぁと思う。似て非なるものを同列に扱うのはどこか不自然な気がする。かといって干支でそのまま10年を見るのもそれもちょっとアバウトすぎるのではないかと思う。なのに四柱推命がこれほどもてはやされるのはどうしてなのか。よくわからない=すばらしいということなのかと勘ぐってしまう。

四柱推命の謎 ③格局

謎というと、①でも触れた格局もその1つである。一般的には月支蔵干(元命)をそのまま格局にしたり、その命式に該当する蔵干が天干に透っているものを格局にすることが多いのだが、後者の場合、もし天干に透らない場合はどうするのかというのも占者(あるいは流派)によって扱いが様々なようである。格局なし、という人もいれば優先順位をきめて時柱や年柱からなんとか格局を導き出したりする人(方法)もある。最近、刊行された「子平三命通變淵源」のように格局をパターンに則って分類し、当てはめていくような手法もある。

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問題は(問題でないのかもしれないが)そこまでして格局を出してどういう使い方をするのかというところである。例えば正財格で身旺だから、あなたは金銭運いいですよ、といったところで「ふーん」ってなるか、「そうは云うけど俺は今、貧乏なんだぜ」という人にはなんにもならない。命占で未来を見る、ということを考えた場合にそこに確固としたものがないと武器として使うにはちょっと心もとない。

インド占星術という「線」

先程も書いたように、この文章は波木星龍先生の「四柱推命の謎と真実」という本にかなりのインスパイアを受けている。実際、この本を読んでみるとこんなところにも四柱推命の痕跡が(実際は逆なのだが)と感動すること請け合いなので、興味があったらこの本は一読することをオススメするし、四柱推命を深堀するのだったら、これからは占星術(古典占星術)を勉強するべきだと思う。

しかしながら今回の文章の内容はどちらかというとインド占星術寄りな内容である。一言で言えば、四柱推命の大運をインド占星術のダシャーとイコールに見てしまおうというものなのである。インド占星術のダシャーは簡単にいえば、人生の期間を木星期、金星期みたいに分類してその期間の運気はどうこうだ、という予測技法のことである。四柱推命の大運はこのダシャーと同じものだという過程に立つと、次のような興味深い手法を思いつく。

  1. 大運干支はインド占星術でいうところの○○期に相当
  2. ○○期の更に細かい時期は「蔵干」が指し示す
  3. 格局は大運期ごとに見る。格局成立したときにはその時期に格局の示す事象が出る

3は説明が必要かもしれない。インド占星術では格局に相当するものは「Yoga(ヨガ)」と呼ぶ。そして出生図のホロスコープにどんなYogaがあるかをチェックして、成立に関係している惑星の惑星期にそのYogaの事象が具現化するとみる。例えば「王者のYoga」というのがあるが、その惑星期にその人が成功したりするといった具合である。

格局をこのように考えると、格局の重要度は増してくる。さらに蔵干もその時期を指し示すものとして重要度が増す。

以下はこれに則って命式解読を試みる。これは「四柱推命もどき」であって、あくまでも上記前提に拠る試行だということをお断りしておく。

命式例

辛 戊 庚 丙
酉 戌 寅 午
戊 節入から7日
丙     7〜14日
甲     14日以降

09-18 辛卯(甲、乙)
19-28 壬辰(乙、癸、戊)
29-38 癸巳(戊、庚、丙)
39-48 甲午(丙、己、丁)

これまでの記述に沿った形で命式を記述してみた。
大事なのは、蔵干は大運期の更に細かい時期を指し示す、という点である。例えば上記の命式の蔵干は戊なのだが、従来の論では日干と同じ(というか日干にしか透らない)なので、他の丙で格を取るみたいな話になっていたが、本稿の論ではただ格局が成立しない、ただそれだけである。手計算をしたことがある人はわかると思うが、大運の計算は3日で1年で1ヶ月30日で10年の大運みたいな見方をする。この蔵干の日数がわかることで、その干の時期がいつくらいまで続くかということがわかるわけである。この命式では上の庚寅の大運の戊の時期は1年くらいしかない。比肩なので両親は我儘な赤ん坊に手を焼いたかもしれない。インド占星術のアンタルダシャーに相当する。

辛 戊 癸 丙
酉 戌 巳 午


この命式は最初の命式の29-38の大運期を表したものである。従来の四柱推命ではこのような書き方はしないが、これは「なんちゃって」四柱推命なので許してほしい。他にもやられている方はいるかもしれないが。これは占星術でいうところのプログレス図と似た考え方によるものである。

この命式は戊ー癸の干合で化火するが、実際に化するのは蔵干が丙の場合だけである。つまり、蔵干が丙の時期が来たときに化するということになるが、化すると

辛 丙 丁 丙
酉 戌 巳 午

みたいな命式になって比劫が強くなる。実際、この人物はこの時期に追われるような形で会社を辞めている。(実際辞めた2013年の干支も癸巳で破格運だった)

まとめ

四柱推命の大運と格局というのは、本来こういうものではなかったか、という妄想を上記のようにまとめてみた。こういう形であると何々格になるとどういうことが起こって、ということがより重要になってくると思うし、逆に何の特徴もない格局は淘汰されてより実用的なものが残っていくような気がする。

自分はあまり実占はしないほうなので、検討材料が少なくまだまだ未検証なところも多いが、これが有効なことがもしわかれば、より四柱推命が深みのあるものになっていくと思うし、またそうなってほしいとも思う。もっとも、背立背景とかそういうのは無視しての論なので、そもそも無理筋かもしれないが。

これからも自分のニーズを満たす形でいろいろと命式をいじっていきたい。これが即、全てに通じるとは思っていないが、少しでも(反面教師としてでも)参考になれば幸いである。

 

 

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